天猫出店条件と費用 2025年版 | Tmall・天猫国際の全貌
中国の巨大EC市場への進出を目指す日本企業にとって、アリババグループが運営する「天猫(Tmall)」および「天猫国際(Tmall Global)」は非常に魅力的なプラットフォームです。しかし、その出店条件や費用は複雑で、最新情報を把握することが成功の鍵となります。
本記事では、2025年最新版として、天猫および天猫国際への出店条件、必要となる費用、そして出店の流れや注意点について、網羅的に解説します。
天猫(Tmall)と天猫国際(Tmall Global)の違いを理解する
まず押さえておくべきなのは、「天猫(Tmall)」と「天猫国際(Tmall Global)」という2つのプラットフォームの違いです。どちらに出店するかによって、条件や費用、ターゲット層が大きく異なります。
- 天猫(Tmall):
- 対象市場: 中国国内の消費者。
- 出店主体: 中国国内で登記された法人格を持つ企業に限られます。
- 特徴: 中国国内に既に法人を持ち、ブランド認知度もある企業向けのプラットフォームです。審査基準は非常に厳しく、大手企業や有名ブランドが多く出店しています。物流も中国国内の倉庫から発送する必要があります。
- 天猫国際(Tmall Global):
- 対象市場: 中国国内の消費者(越境EC)。
- 出店主体: 中国国外の法人でも出店可能です。つまり、日本の企業が日本法人格のまま出店できます。
- 特徴: 中国市場へのテストマーケティングや、中国法人設立のハードルを避けたい企業に適しています。商品は保税区モデルや海外直送モデルを利用して中国の消費者に届けられます。近年、日本をはじめとする海外ブランドの誘致に力を入れています。
多くの日本企業にとっては、まず**天猫国際(Tmall Global)**が出店の現実的な選択肢となるでしょう。本記事でも、特に天猫国際の出店条件と費用を中心に解説を進めます。
天猫国際(Tmall Global)への出店条件:2025年のポイント
天猫国際への出店には、いくつかの基本的な条件と、取り扱い商材やブランドの状況に応じた追加条件が求められます。2025年においても、以下の条件は引き続き重要となると考えられます。
- 法人格:
- 中国国外で登記された法人であること(日本企業の場合は日本法人)。
- 原則として、2年以上の事業運営実績と、一定規模の年間売上があることが望ましいとされています。
2._ ブランド・商標: * 出店するブランドの商標権を保有していること、またはブランドオーナーからの正規の販売代理授権を受けていることが必須です。 * 商標は、出店申請国(日本など)または中国で登録されている必要があります。中国での商標登録が推奨されます。
- 業界・商品要件:
- 取り扱う商品カテゴリーによって、特定の許認可や証明書が必要となる場合があります(例:化粧品、食品、ベビー用品など)。
- 天猫国際が定める「ネガティブリスト」に該当する商品は取り扱えません。
- 運営体制:
- 中国語に対応できるカスタマーサポート体制(または代行業者への委託)。
- 国際物流や返品処理に対応できる体制。
- 多くの企業は、天猫国際の運営に特化したTP(Tmall Partner)と呼ばれる運営代行業者と契約し、店舗運営を委託しています。
- その他:
- 企業の信用情報や財務状況も審査の対象となります。
- ブランドの知名度や人気度、中国市場での潜在的な需要なども考慮される傾向にあります。
審査基準は公開されていない部分も多く、アリババ側の判断によるところが大きいため、事前の情報収集と準備が不可欠です。
天猫国際(Tmall Global)の出店・運営費用:2025年の目安
天猫国際への出店および運営には、主に以下の費用が発生します。具体的な金額は出店形態(旗艦店、フランチャイズ店など)や取り扱い商材のカテゴリーによって変動するため、あくまで目安として参考にしてください。2025年も同様の費用体系が継続されると予想されます。
- 保証金(デポジット):
- 金額: 約5万人民元~15万人民元(約100万円~300万円)。
- 概要: 天猫国際の規約違反などがあった場合の担保金として預けるものです。契約終了時に問題がなければ返金されます。ブランドの旗艦店か、フランチャイズ店か、また取り扱い商材によって金額が異なります。
- 年間サービス料(技術サービス料):
- 金額: 約3万人民元~6万人民元(約60万円~120万円)。
- 概要: プラットフォームの利用料として毎年支払う費用です。年間売上目標を達成した場合、一部または全額が返金されるインセンティブ制度があります。これもカテゴリーによって料率が異なります。
- 売上ロイヤリティ(コミッション):
- 料率: 売上の2%~5%程度。
- 概要: 商品が売れた際に、売上額に対して発生する手数料です。カテゴリーによって料率が細かく設定されています。例えば、化粧品は4-5%、アパレルは5%、家電は2-3%など。
- Alipayサービス手数料:
- 料率: 売上の約1%程度。
- 概要: 天猫国際での決済は主にAlipay(支付宝)が利用されるため、その利用手数料が発生します。
- その他費用:
- TP(Tmall Partner)運営代行費用: 多くの企業が利用する運営代行業者への委託費用です。固定費+成果報酬型が多く、初期費用や月額費用は業者やサービス内容によって大きく異なります(数十万円~数百万円規模になることもあります)。
- マーケティング・広告費用: 出店後の集客や販売促進のための費用です。
- 物流・倉庫費用: 国際送料、関税、保税倉庫利用料など。
- 翻訳費用: 商品ページやカスタマーサポートの中国語対応費用。
これらの費用を総合的に考慮し、十分な資金計画を立てることが重要です。
天猫出店の流れと成功のためのポイント
天猫国際への出店の一般的な流れと、成功確率を高めるためのポイントを解説します。
出店の流れ(目安):
- 事前調査・準備:
- 市場調査、競合分析、自社ブランドの適合性評価。
- 出店形態(旗艦店、FC店など)の検討。
- 必要書類(会社登記簿、商標登録証、許認可証など)の準備。
- TP(運営代行業者)の選定(推奨):
- 実績や専門性を比較検討し、信頼できるTPを選びます。
- 出店申請:
- 天猫国際の公式サイトまたはTPを通じて申請書類を提出。
- アリババによる審査(数週間~数ヶ月かかる場合も)。
- 契約締結・費用支払い:
- 審査通過後、契約を締結し、保証金や年間サービス料を支払います。
- 店舗構築・商品登録:
- TPと協力し、店舗デザイン、商品情報(中国語)、価格設定などを行います。
- 開店準備・テスト運営:
- 物流テスト、カスタマーサポート体制の確認。
- 正式オープン・運営開始:
- マーケティング施策を実施し、販売を開始します。
成功のためのポイント:
- 明確なブランド戦略: 中国市場における自社ブランドのポジショニングを明確にし、ターゲット顧客に響く訴求を行う。
- 信頼できるTPとの連携: 実績豊富でコミュニケーションが円滑なTPは、出店準備から運営、マーケティングまで強力なパートナーとなります。
- 中国市場への理解: 中国の消費者の嗜好、トレンド、商習慣、SNS文化などを深く理解し、ローカライズされたマーケティングを展開する。
- 十分な初期投資と継続的な投資: 出店初期だけでなく、継続的なマーケティングやプロモーションへの投資が不可欠です。
- データ分析と改善: 販売データや顧客フィードバックを分析し、常に店舗運営や商品戦略を改善していく姿勢が求められます。
- 知的財産権の保護: 中国での商標登録は必須と考え、模倣品対策にも注意を払う。
まとめ:2025年、天猫進出を成功させるために
天猫(Tmall)および天猫国際(Tmall Global)への出店は、巨大な中国市場へのアクセスを可能にする大きなチャンスです。しかし、その条件や費用、運営ノウハウは複雑であり、十分な準備と戦略なしには成功は難しいでしょう。
2025年に向けて天猫への出店を検討されている企業様は、まず天猫と天猫国際の違いを正確に理解し、自社に合ったプラットフォームを選択することが第一歩です。そして、最新の出店条件や費用体系を把握し、信頼できるパートナー(TP)を見つけることが成功への近道となります。
本記事が、皆様の中国市場進出の一助となれば幸いです。具体的な出店計画を進める際には、必ず天猫国際の公式サイトや専門家にご相談されることをお勧めします。